2009年5月25日月曜日

ニコッとタウン&プーペガール

ネット上に構築される「仮想空間」は、現在爆発的に増加している状況があります。セカンドライフ(http://jp.secondlife.com/)はアカデミックな文脈からも注目を集めており、教育用途での応用可能性や新たな経済領域としての巨大さが認知されています。

一方でセカンドライフに対してよく言われているのが①要求スペックの高さ、②非日本人的デザイン感覚、③目的が付与されない空間の居心地の悪さ、によって日本人(特に一般ユーザ)には向いていないということです。

一方で現在、国内においてはこれら3つのセカンドライフの反省を踏まえて新たなサービスが続々とユーザ数を集めています。これらサービスの特徴は①flashベース(=軽い)、②ゲームなどをデフォルトで搭載している(=とりあえず目的がある)、③等身が小さめ(=かわいい)、という点だと思われます。今回はこの中から2つのサービスを紹介します。


まず国内で大きなものとしては「ニコッとタウン(http://www.nicotto.jp/)」があります。こちらはゲームなどの設置に力が入っており、ゲームを行いながら他者とコミュニケーションを行えるといった仕組みでユーザの「やることがない」を低減させています。またこのサービスに特徴的なのが、夜12時になると、一旦サービスが翌朝まで停止する点です。ネット持つ自由度の高さを制限することで、逆にユーザ間の関係性をより安定化させている例であると考えられます。

またこの中のゲームで遊ぶには、仮想通貨が必要です。これを得るために効率的であるのは「ブログを書く」ということです。中身的にはSNSですが、空間内の生活のためにユーザ情報を開示させていく&交流のきっかけを生成させるという手法はきわめて複合的で効率的に思われます。


次に面白い例としては「プーペガール(http://pupe.ameba.jp/)」です。運営はアメーバで、ファッションと女子にターゲットを絞り込んだ仮想空間になります。こちらは仮想空間というよりもアバターサービス(アバターの着せ替えが主)寄りです。このサービスをざっくり語ると、自分のアバターを着飾って、他者と褒め合うという構造です。ただ面白いのがこのアバターの衣服やアクセサリーを得るためにはユーザが所有するリアル衣服などの写真と説明の投稿が必要であるという点です。

このシステムによってユーザはアバターを着飾りたい→どんどん自分の衣服やアクセサリを投稿するという構造が生まれ、巨大なファッションデータベースが構築されています。知識共有へのモチベーションを演出するという点で非常に面白い例だと思います。

2009年5月12日火曜日

スマートタギング&共有サービス Twine



http://www.twine.com/

Twine(よりあわせた紐のこと)はRadar Networks社により開発され、2008年10月21日から一般向けサービスを開始。同月サンフランシスコで開かれたweb3.0カンファレンスにおいてかなりの注目を集めたと言う。

  これは一種のソーシャルブックマークサービスで、取り込んだブウェブページから内容や構造を読み取り、機械学習や自然言語解析に基づき自動でタグ付け(ス マートタギング)を行う。いくつか試してみたところ、ページ内容と関連性があるがページ自体には現れない語もいくつかタグになっていた。

※Game studies(wikipedia)の場合、ページ内には現れないAmerindian(メキシコのネイティブ部族についての言及がある)や、少し触れられただけだが重要なLudology(物語論を応用したゲーム研究手法)などがタグ付けされた。
ソースページ http://en.wikipedia.org/wiki/Game_studies

 さらにテキストに限らず、動画や画像などセマンティック解析を行えるものであればタグ付けが可能としている(ただしそちらの精度は未確認)。

  利用するにはユーザー登録が必要で、登録すると自分専用のブックマークスペースが与えられる。次に、ユーザーはブラウザのブックマークにブックマークレッ トを追加し、ブックマークツールバーに表示されたブックマークレットをクリックすることで、現在表示中のページをTwineに送信する。
 ブックマーク情報を受け取ったTwineは、内容に従ってタグ付けを行うとともに、ブックマークしたユーザー情報も記録する。これはユーザーの好みを分析したりするのに利用される。

  Twineはソーシャルネットワークサービスとしての側面も持つ(きわめて簡素な物ではあるが)。付されたタグをクリックすると、そのタグと関わりの深い と思われるタグやブックマークの一覧と共に、同じタグ(語)を付されたページをブックマークしたユーザーの一覧が表示される。
 また自分の「友人」が登録したページや、そこでの頻出語(タグ)などが自分が検索を行った時の結果表示の優先順やリコメンデーションなどに影響する。

  ここでは重要語の選択と相互関係の把握には、wikipediaなどのオンラインデータベースも利用している。過去のブックマークやwikipediaな どを参照し、重要と思われる語(特に人名などの固有名詞)を拾い出してお互いの関係を(同一ページでの出現頻度や文章の解析から)「セマンティックグラ フ」を作成。これにより、ブックマークされたページには出てこないが関連性の高い語をタグ付け可能にしているらしい。

 とはいえ、コンテンツによっては解析に失敗し、不適当なタグがついてしまう場合も多くあったし、日本語ページにはタグ付けはほとんどの場合上手くいかないようだ。その意味でも、まだ試行的なサービスであると感じた。

  トラフィックの方はまだまだではあるが、公開から半年程度と考えれば伸び自体は順調のようである。

※もう少しタグ付けの精度が上がれば、ではあるが、他のサービスとのマッシュアップに利用価値が高いのではないかと感じた。